でももし、運転していたのが成宮くんだったとしたら、その補償金は全額成宮くんの親が負担すべきものとなる。
母さんが返す必要なんてないんだ。
「オレは逆だと思ってるよ。運転してたのは成宮くんじゃないかって。兄貴はそんなことしないと思うし、それに……」
「恵介が悪い」
言いかけた言葉をピシャリと遮られた。
「もしそうだとしても、恵介は成宮くんを止めなきゃいけなかった。ヘルメットをかぶせてもらって後ろに乗ったのなら、同罪なの。
自分の命も、友だちの命も……、守れなかったのは恵介も同じなのよ」
母さんの声が震える。
「そんなこともわからない子に育てたのは、お母さんだから……ね」
母さんは兄貴が運転したんじゃないと信じている。
だけどそれでも責任を感じて、金を払い続けているんだ……。
「恵介にしてあげられることは、もうそれしか残ってないし……」
震える声が、そうつぶやいた。



