今夜、きみの手に触れさせて



「じゃー、オレらはこの辺で」


修吾とヤスが帰っていく。




「やっぱり、ちょっともらおうかな、カレー」


静かになった部屋で、母さんが小さくつぶやいた。


「いーよ、別に。無理しなくても」


そう言ったけど、もう食器棚から小さめの器を出している。




「久しぶりだね、純太のカレー」


向かい合ったテーブルで、一緒にカレーを食いながら母さんは言った。


「うん」






どっちが運転していたかわからなかった兄貴の事故は、結局全部兄貴のせいにされた。


公民館で成宮家と合同で行われた葬式で、成宮くんの親戚だって人達から、そう決めつけられたんだ。




ひとつだけ借りていたヘルメットをかぶっていたのが兄貴だったから、運転していたのは兄貴だって話になったようだ。




『彰は無免許運転なんてする子じゃない。お前んとこの不良息子のせいだ!』


『ったくどういう育て方をしてきたんだか。死ぬなら自分だけ死ねばよかったんだ。彰を返せっ』




寄ってたかって大声でなじられて、母さんはただ泣き崩れるばかりだったっけ。