今夜、きみの手に触れさせて



「今にして思うんだよ。兄ちゃん……ケータイ欲しかったろうなって。


オレと違って、兄貴はちゃんと中学通ってたし。友だちとラインしたり、彼女と電話したり、ゲームしたり、動画見たり……。


きっと欲しかったはずなんだ。
兄貴はそんなこと、オレには言わなかったけど……」






「カッコよかったよなぁ、恵介くん。オレ、憧れてた」


修吾がポツッと言った。




「まー、オレがお前のを借りるみたいに、兄貴も友だちのケータイ、我がもの顔で使ってたけどな」


「成宮くんか?」


「あー、うん」


いつも兄貴とつるんでいた兄貴の親友・成宮彰。


兄貴が修吾を可愛がっていたように、
オレを弟のように可愛がってくれた人――。




兄貴たちが部屋でふたりで頭突き合せて、成宮くんのスマホをのぞき込んでいた姿を思い出す。


おもしろ動画でも見てんのか、しょっちゅうふたりしてゲラゲラ笑い転げてたっけ。