今夜、きみの手に触れさせて



「え、そうかな?」


キョトンと聞き返すと、彼はスラッと言った。


「『純太』で、いーよ」


じゅ、じゅんた……?


ダメだ、呼べない。恥ずかし過ぎる。




赤くなって固まっていたら、隣でフッと吐息がもれた。


矢代くんの手が、後ろからわたしの肩に回されて、


その手にグイッと引き寄せられる。


わわ……。




窓のサッシを背にした矢代くんの肩に、頭ごともたれるような形になった。


ピッタリと寄りそって音楽を聴くラブラブカップルみたい。




ドキドキドキドキ。


温かな矢代くんの体温……。



もはや心臓の音がうるさすぎて、音楽なんて耳に入らない。