今夜、きみの手に触れさせて



ヒョイと身軽に腰をあげて、そんなわたしの横に矢代くんが来てくれた。


片ひざを立てて、寄り添うように座る。


わわ……。




彼の手がスッと伸びて、わたしの髪を片耳にかけた。


そうしてイヤホンの片っぽを、あらわになったその耳にそっと差し込む。


たぶん真っ赤に染まっているであろうわたしの耳に、矢代くんの指が触れている。




「昔の歌ばっかなんだけどな」


そう言いながら、彼はイヤホンのもう片方を自分の耳の中に入れた。




あ……。


聞き覚えのあるメロディが流れ出す。


少し懐かしいような曲。




「新しい歌入れたいんだけど、やり方がわかんないんだよな。

元々パソコンねーから知り合いに入れてもらったてんだけど、その人もういねーし」