今夜、きみの手に触れさせて



ピンポーン。


呼び鈴を押したけど、誰も出て来ない。


こういうときは、そうそう、勝手にドアを開けて……


ん?


か、鍵がかかってる!?




ピンポーン。


もう一度チャイムを鳴らし、その場に立ち尽くす。



い、いないのかな?

それとも、寝てる……?



不安になりかけたとき、ガチャッとドアが開いた。




「……あ」


出てきた矢代くんは、わたしを見て目を丸くしている。




「ゴ、ゴメンね、早いよね。出直そうか?」


そう聞いたら、矢代くんはポソッと言った。


「バーカ」


友だちに言うときとは違う優しい言い方。




矢代くんの手がスッとわたしの手を取り、中へ招き入れてくれた。


わ……。