今夜、きみの手に触れさせて



「そりゃ行きたいけど……。でも、何も『一校』だけにこだわってるわけじゃないもん。

このままがんばるけど、志望を決定する段階で一校が危なければ、自分の成績に見合う高校を受けるつもり」


ホントの気持ちを言ったのに、お母さんはフンと鼻で笑った。




「そういうことを言った者が負けるのよ。

『何がなんでも一校へ行く』って信念の強い人だけが、勝ち残って一校へ行けるの。逃げないでよ、青依」


教師でもなんでもないくせに、わかったような口ぶりにムカムカする。




「逃げてなんかないっ! 夏休み中ずっとずっとがんばってきて……、それでも1日も休んだらいけないの? もっともっと勉強しろって、お母さんは言うの?

どうして褒めてくれないの? どうして追いつめるようなことばっか言うのよっ」


気がついたら涙が出ていた。




だって悔しい。

だって悲しい。


がんばってるのは、わたしだもん。




だけどお母さんはわたしを見据えて静かに言った。