家にいても、ずっとぼんやりとしていた。
夕飯もお風呂も終えて、後は寝るだけって態勢で勉強机に向かっているけれど、やる気なんて全然しない。
相変わらず矢代くんのことばかりを考えていた。
夏休みが終わっても、彼は学校には来ないから、会えないんだなーとか。
学校で会えたら少しは進展するかもしれないのに、とか。
見れるだけでいいのになぁとか。
矢代くんのケガは、やっぱりろっ骨の骨折だったってことは、律ちゃんから聞いて知っていた。
あと、修吾くんが、わたしたちがつきあいだしたとカン違いしているってことも。
『そんなんじゃないよ』と律ちゃんに否定したら、ビックリされた。
『修吾ってば、すっかりその気だよ』って。
愛してる、なんて矢代くんに言われてるのを聞かれちゃったもんね。
いー人だなぁ、修吾くんは。
世の中には、気持ちもなしに、そーゆーことをスラッと言えちゃう人もいるのにね……。
フゥ……と小さくタメ息をついたとき、
机の端っこでケータイが震えだした。



