「どうしたんだ、月島。ここ2,3日様子がおかしいぞ。君らしくないな」
「すみません。ちょっと体調が悪くて……」
「そうか? まぁ無理をしないようにな」
見え透いたウソなのに、先生はそう言っただけだった。
「いーなー、真面目ちゃんは。わたしなんてちょっと寝てただけで、親まで呼び出されてしぼられたけどなー」
なんて後ろのほうから聞こえよがしな声がする。
いつも真面目でハメを外さない分、先生からはたぶん安心されている。
そんなことがわたしの取り柄。
「あとちょっとだからがんばろーね」
隣の席の子が声をかけてくれた。
「うん」
今週で夏期講習は終わる。
あとは日曜を挟んで夏休み最後の3日間に、自由参加の勉強会が行われるだけだった。
残っている宿題を一気に片づけちゃう会。
それで、長かった夏休みが終わる。



