『好きになってもいいの?』って、
矢代くんが聞いたのは、キスをした後だった。




これから好きになってくれるの?


ならない場合もあるの?


男の子って衝動的にあーゆーことをしちゃうんだろうか?


それは、あのとき駆けつけたのがわたしじゃなかったとしても……?




いろんな思いが頭を駆けめぐる。




『胸キュンした』とか、
『今のままでいて』とか、


たくさんくれたドキドキするような言葉も、


じっと心の中をのぞき込むような涼やかな眼差しも、


もしかして、矢代くんが女の子を落とすときの定番のスタイルなのかもしれない。




悲しいかな、そう考えたほうがまだ納得できた。


だって矢代くんがわたしのことを本気で好きになるだなんて、とても信じられない話だと思う。