「ゴ、ゴメンね。大丈夫っ?」
見あげてビックリ!
鼻先が触れそうなほど近くに、矢代くんの顔があった。
手首から離れた彼の手が、わたしの肩にまわされる。
「いーよ。わざと引っぱったからオレ」
熱い吐息。
「ど、どーして?」
絡み合う視線。
「こーしたら、青依ちゃんはどうするのか、知りたかった」
少し体を起こした矢代くんの腕が、ふんわりとわたしを抱いた。
え――!?
え――!?
え――!?
妖しく儚い月灯りの下で、
刹那とも永遠とも思える沈黙が流れる。
「逃げても……いーよ」
優しい声がささやいた。
「え……?」
柔らかく注がれる透きとおった瞳に、
心臓だけがバクバクと、すごい音を立てていた。
返事の代わりに、矢代くんのTシャツの裾をキュッと掴む。



