今夜、きみの手に触れさせて



信じてるんだよね……。


あんなに上からエラそーに言うくせに、彼は修吾くんのことを、これっぽっちも疑わない。


あのケンカの日だって、修吾くんが連れて行かれたと聞いただけで、矢代くんは血相を変えて飛び出してったっけ。


表に出る態度ではわからない、ふたりの絆の強さを思う。




もしも修吾くんが来なかったら、わたしが自転車に乗せて運んであげられるかな?


グラグラして転んじゃって、もっとケガさせちゃうか……。




せめて額の汗を拭いてあげよう。


唇の端に血もついたままだし。




ハンカチを取り出そうとカバンを探したら、コンビニでパンを買ったときの紙おしぼりが出てきた。


袋からそれを取り出して、矢代くんににじり寄る。




隣に両膝をつき、ちょっと覆い被さるように手を伸ばして、彼の前髪をあげた。


ピクッと、長いまつげが震える。




茶色く澄んだ矢代くんの瞳が、


真っ直ぐにわたしをとらえた――。