今夜、きみの手に触れさせて



「おばちゃんのこさえるポップコーンが香ばしくて、すげーうまくてさ、家で『作ってくれ』って母親に頼んだら、

『そんな暇ないから』って、次の日スーパーで買った袋入りのポップコーンを渡されて、結構傷ついたの覚えてる」


そこで矢代くんは小さく笑った。




「だからオレ、手作りでお菓子とか作れちゃう人に憧れてんだよね。

青依ちゃん、この前ドーナツ作ってきてくれたろ? オレ、あーゆーのに心打たれるタイプ」


矢代くんはクルッと可愛い目をして、わたしの顔をのぞき込む。




こ、心打たれる……!?

う、うれしいな。

勇気を出して作ってって良かった。




「なのに、ぶちまけちゃってゴメンな」


そんなことまで覚えてくれている。




ブンブンと首を横に振って、小さな声で言った。


「ま、また作ったげるね」


なーんて。