今夜、きみの手に触れさせて



「うちは母親が働いてて、昼間いないだろ? だから小学校終わったら、いつも即修吾んちに行ってた」


「毎日?」


「うん、毎日」


と矢代くんは笑う。




「おっちゃんもおばちゃんも、すっげーいい人でさ、オレ大好きだったな、修吾んち。

今はもう閉めちまったけど、あいつんとこ昔は家でネジ工場やってて、ふたりともいつもいるんだよ。一階が作業場だったから」


「へぇ」


「おっちゃんは声がでかくて、やたら明るくて、めっちゃあったかい人でさ……。休憩時間にはよく遊んでもらったっけ。

オレ、父親いねーから、修吾のおっちゃんに、すんげー懐いてた」




矢代くんの顔が今までで一番楽しげな表情になる。




「おばちゃんもやっぱ明るくて、優しくて……。

忙しいのに、いつもオレらに何か作って食べさせてくれんの。おにぎりとか、ホットケーキとか」


「そうなんだ」