今夜、きみの手に触れさせて



「な、仲いーんだね。修吾くんそんなこと頼まれて怒らないの?」


「ぜ~んぜん。あー、たまにムッとしてるかな。たいてーあいつには用事ねーし、伝言だけだから」


なんて矢代くんは平気で言う。




「いつも結構……上から、だよね?」


前から思ってたんだけど、

修吾くんはクラスの中心で、たぶん仲間うちでも一目置かれているはずなのに、矢代くんてば彼に対して、なんてゆーか……

かなりエラそーなんだ。




「そう?」


「うん。修吾くんには特に当たりが強いっていうか……」


わたしがそう答えたら、矢代くんはなぜかうれしそうに笑った。


「ハハッ、そーかな?」なんて。


「そーだよ」


うんうん。


さっきも『迎えに来てよ』って、当然のように言ってたし……。


修吾くんのパシられてる感、半端ない。






「修吾とは古いんだ。ガキの頃から兄弟みたいに育ったから」


矢代くんはちょっと遠い目をしてそう言った。