とりあえずバラバラの方向に落っこってるクロックスを拾いに行って、仰向けに投げ出した矢代くんのつま先に、ひょこんひょこんと履かせる。
それから宣言通りにお母さんにメールを入れた。
『塾で居残りしてる。わからないところ質問してるから、ちょっと遅くなるかも』
なーんて。
「青依ちゃん、手……貸してくれる?」
すると、メールが済むのを待っていたように、矢代くんが言った。
「起きようとすると、すげー痛くて……」
そう言いながらも、矢代くんはひじをついて体を起こそうとしている。
急いでそばに行き、彼の体を支えた。
「う……」
途中で止まってしまった背中をゆっくりと押してあげる。
「……っく」
痛みをこらえながら、矢代くんはやっと上体を起こした。
そのまま体をずらすのを手伝って、建物の壁を背もたれにする。
支えながらわたしも、その横に並んで座った。



