今夜、きみの手に触れさせて



そのまま腹を蹴られて、痛みが走って、
やっと自分が襲われてるってことを理解した。


「……ッテ」


不意打ちの相手を見あげる。


「お前、北見とツルんでるやつだよな?」


と、そいつは言った。




聞き覚えのある低い声……。


ああ、こいつアレだ。
北中のやつ。


前に修吾にシメられて泣き入れたやつだ。




「泣きながら、修吾のクツ舐めた一ノ瀬くんだ?」


ふらりと立ちあがりながらオレがそう言と、やつはキレた。




「はぁっ? 泣いてねーし、舐めてもいねぇっ!」


「だっけ……?」




余裕かまして見せてるけど、実はオレ、全身じっとりと汗ばんでいる。


相手は北中で一番強いやつだからな。




だけど、負けたくない。


その一心でやつの目を睨み返した。




そんなオレの襟首をむんずと掴み、一ノ瀬は路地に押し込んだ。


そのまま足を払われ、地面にまた叩きつけられる。



ヤバいか、やっぱ……。