今夜、きみの手に触れさせて



「修吾には言うなよ」


ムスッと釘をさすと、さすが幼馴染み、やつのお節介な性格はわかっているらしく、孝也は笑ってうなずいた。


「了解、了解。そっと見守るよ」


「うん。

孝也の会いたがってる子、今からこっち来るかもよ。まだまだ時間あるんだし」


話題を変えてそう言ったら、孝也は神妙にうなずいた。


プフ、相当好きらしい。






あの子は……


月島青依はもうここら辺にはいないようだ。


どっかで金魚すくいでもやってんのかもしれない。


浴衣姿でしゃがみ込んで、じっと金魚を狙ってるとことか、想像すると可愛くて、





……また、会いたくなった。







結局それから、孝也の想い人は現れず、

青依ちゃんの姿も見ないままに、



祭りの夜は終わった。