今夜、きみの手に触れさせて



だって、


食べたいのは、矢代くんの作ったかき氷なんだもん。


あとちょっとだったのに……。




今さら矢代くんの前に割り込むのは、ズルするみたいで、わたしには出来そうにない。


も、もう一度並び直そう。


今度はちゃんと矢代くんの元へ……


い、行けるんだろうか?


何回やり直しても同じだったらどうしよう。


律ちゃんについてきてもらおうか?




てゆーか、この年で満足にかき氷も買えないなんて。


しかも『こっ、こっ、こっ、』って、何ですか――?




さっき矢代くんに見せた醜態を思い出し、
あまりの情けなさと恥ずかしさで、じんわり涙さえ浮かんできた。


中三にもなって、好きな人からかき氷が買えなくて泣くなんて、わたしだけだ。バカ。








「月島」




肩を落とし、人だかりの最後尾に向かってとぼとぼと歩き出すと、後ろから大声で呼ばれた気がした。



ん?