今夜、きみの手に触れさせて



「こ、こ、」


『氷イチゴ2つ』と言うところが、緊張マックスで声が出ない。


「レモン味1個ちょうだい」と、隣のおばさんに先を越されてしまった。




よ、よし、次こそは!


テキパキとかき氷を完成させる矢代くんに見とれつつ、ドキドキと自分の番を待つ。




「こ、こ、」


「次、オレ、イチゴとメロンね」


う……。
またしても隣の人に……。






矢代くんが出来あがったかき氷を隣の人に手渡す。


そして今度は注文を促すように、わたしのほうを見てくれた。




「こ、こ、」


バチッと目が合う。




済んだ瞳……。


ライトが映って茶色く透けて、すごくキレイ。




ドッドッドッドッ……。


し、心臓が怖いくらいに暴れ出す。




「こっ、こっ、こっ、」


ダ、ダメだ、噛みすぎ。