今夜、きみの手に触れさせて



窓際に座る矢代くんにぎくしゃくと近づいていく。


ドキ……。


彼がじっとこっちを見ているのがわかる。




顔も表情も変えずに、目だけでわたしを追っている。


その視線を感じるだけで心臓が高鳴り出した。


ドキドキドキ……。


バ、バカ、緊張しすぎ。




陽に透けた茶色い髪。


サラサラのストレートヘアが無造作に額にかかっている




真っ直ぐにわたしを捉える瞳。
高い鼻。
涼しげな顔……。


まともに顔を見るのは初めてかもしれない。


矢代くんこんな顔してたんだ。




すごく……キレイな目。


柔らかな茶色。


透きとおる遠慮のない視線に……


い、息が止まりそう。