今夜、きみの手に触れさせて



そうして――


あともう少しでわたしの番となった。


前の4,5人が抜けたら、次がわたし。


ちゃんと矢代くんの前をキープしてるよ。




矢代くんとわたしたちの間には、折りたたみ式の長テーブルが置かれていて、

そのテーブルの上には、色とりどりのシロップが並べられてあった。




『氷イチゴ2つ下さい』
『氷イチゴ2つ下さい』
『氷イチゴ2つ下さい』


さっきから噛まないように、ずっと心の中で練習している。




ドキドキドキ……。




もうすぐ矢代くんと話ができる。


お、覚えていてくれるかな?


いや、期待するのはよそう。


相手は矢代くんだもん。同級生だったことも知らなかったぐらいだし。




だけど、コンビニでは笑いかけてくれたし、この前おうちに行ったときも、わたしだってことわかってくれてた。


か、顔ぐらいはわかるよね?


今度こそ、笑いかけてみようか?




ドキドキしながらそんなことを考えていると、目の前がパッと明るくなった。


わ、わたしの番だ……!