「キャ」
並んでいると、後ろからも横からもグイグイと押される。
かき氷を買おうと集まっている人たちは、ちゃんとした列ではなくて、人だかりのようになっていた。
強引に割り込んでくる人もいて、その度に右に左に体を持ってかれる。
ちょっ、困る。
かき氷担当のスタッフは、矢代くんの他にも二人いて、うっかりしてると他の人の前に流されちゃいそうだ。
ここは足を踏ん張って、しっかり矢代くんの元まで進まなくっちゃ。
他の人から買ったって意味ないもん。
そして……
並んでいる間も、こっそり矢代くんを見とくんだ。
ライトに照らされた矢代くんの顔は、なんかいつもよりイキイキとして見える。
すごく忙しそうだけど、全然ダルそうじゃないし、パニクッてもいない。
手慣れた感じで客をさばいてく。
プロの業者の人にスカウトされそうだよ。
ちょっと日焼けしたのかな?
額の汗がライトに反射して、キラキラと輝いていた。



