かき氷のゾーンにまわると、そこはまたすごい人だかりだった。
子どもも大人も若者もファミリーも、
みんなこんなにかき氷、好きだっけ?
や、矢代くんは?
伸びあがって前方を見る。
い、いた……!
いた、いた、いた!!
ライトの中に、オレンジ色のTシャツ姿の矢代くんが浮びあがった。
袖を肩までたくしあげて、がんばっている。
人はぎゅうぎゅう状態だけど、距離にしたら5メートルほどなので、矢代くんの声が聞こえてきた。
『イチゴとメロンね?』とか?
注文を確認して、業務用の機械で大きな氷をガーッと削っていく。
シロップをたっぷりかけて、『ハイ』って差し出して……わ、ちょっと笑った?
お金をもらってお釣りを渡して、ちゃんとお店の人みたい。
『ありがと』って、お客さんにもタメ口だけど。
こ、ここにこのまま並んでいたら、
あーして矢代くんと話せるんだ。



