「修吾、焼きそば焼いてたよ」
ヤスくんが律ちゃんに言った。
「うん。矢代くんも……?」
怪訝そうな律ちゃんの顔を見て、ヤスくんが笑う。
「はは、純太はこれ売ってた」
ヤスくんと翔子ちゃんが、ストローの刺さったかき氷のカップを差し出した。
へー……。やっぱり意外。
「お祭りは参加なんだね、矢代くんも」
律ちゃんが笑うと、ヤスくんが教えてくれた。
「なんか今年はあいつらの幼馴染みのとこが、祭りの実行委員やらされてんだって。
で、同じ子供会だったやつらが招集されたらしいよ」
だからヤスくんは違うんだ。
「キャラじゃないけどね~、純太は」
翔子ちゃんもそう笑った。
「けどまー、案外楽しそうにやってたから、青依ちゃんも食いに行ってやって」
ヤスくんはわたしにウィンクして見せる。
もちろんだよ。
絶対食べたい、矢代くんの作るかき氷!
そして、それよりも何よりも、わたしは矢代くんに会えることに舞いあがっていた。
だって、生の矢代くんを見るのは、あのケンカの日以来なんだもん。



