「お参りしたら、あとで公園のほうにまわろーね」
律ちゃんが目配せした。
「うん!」
境内に入りきれなかった露店は、隣接する児童公園で店を広げる。
その一角に自治会の模擬店や催し会場も設置されるんだ。
「焼きそば焼いてるんだよね、修吾くん」
「うん。矢代くんもいるってホントなのかな?」
今年はどうもその自治会の模擬店を、修吾くんたちが手伝うらしいんだ。
そう教えてくれたのは律ちゃんなのに、本人も首を傾げていた。
だって矢代くん、そんなこと引き受けるかな?
『ダルい。ヤダ』とか言いそう……。
「あー、律ちゃんと青依ちゃんだ~」
お参りを済ませて公園へ向かう途中、翔子ちゃん&ヤスくんカップルとすれ違った。
「可愛い~!」
翔子ちゃんと、また浴衣姿をほめ合う。フフ。
「似合う、似合う」
それから翔子ちゃんはわたしの髪飾りを指差して、うれしそうに笑ってくれた。



