今夜、きみの手に触れさせて



変わらないのは環境のせいだと思っていた。


あんな父親がいて、
あんな母親がいて、

温かい家にずっと守られてきて……


そりゃ変わらずにいられるだろうって。




だけど違うな。


あいつなら、何があっても、あきらめたりはしない。


どんなに苦しくても、必死にもがいて前を向いていく。


それが修吾の強さだ。



今日、それを突きつけられた。




オレがつぶれたのは、ただオレが弱いからだ。


同じことがあっても、あいつならきっと立ち向かっていく。




殴られても殴られても殴られても殴られても

負けなかった修吾を見て、素直にそう思えた。




あいつはずっと変わらない。






そのとき突然――


リビングの電話が鳴った。