今夜、きみの手に触れさせて



「じゃあ、冷蔵庫に入れとくから、明日にでも食べて」


「うん」


それから母親は思い出したように、こう言った。


「彼女、かな?」


「え?」


「お母さんが家に着いたとき、女の子がふたり、ちょうど帰るところだったのよ」


え。


「彼女?」と母親はもう一度聞く。




「修吾のな」


とオレは答えた。


「まぁ、修吾くんの? どっちの子が?」


「髪、長いほう」


「へぇ~、キレイな子ね」


「あいつは昔から面食いなんだ」




「じゃあ、小柄なほうの子ね?」


母親は少し笑ってそう言った。


「何が?」




「純太の彼女」