今夜、きみの手に触れさせて



家に帰る道のり、

ハンドルを握る手が、妙に汗ばんでいた。


さっきもそうだったっけ。



修吾が連れ去られたって神社に向かう途中、

最悪の事態ばかりが頭をよぎり、オレはちょっと普通じゃなかった。



修吾とはもう会えないような気がして、

息をするのももどかしいくらいに、我を忘れてペダルを踏み続けた。



やっぱりハンドルを握る手が、じっとりと汗ばんでいた――。






帰宅して、家ん中は空っぽかと思ったけど、母親がもう帰っていた。


今日は仕事が早く終わったらしい。




あれ?


あの子が作ってきたお菓子、もうないんだ?




そこらをキョロキョロ探したけれど、あの子が両手に抱えていたペーパーバッグはどこにもなかった。


そういえば、ヤスとぶつかって中身が飛び出して、床に転がったんだった。


それを踏みつけて、オレらは外へ飛び出したっけ?