今夜、きみの手に触れさせて



当然ながら、さっきからカッカと顔が熱い。




「なんで、いつも真っ赤になるの?」


意地悪じゃなく、
からかってるんでもなく、


子どもが質問するように、矢代くんは聞いた。




「あ、ダメなの、わたし……。

よく知らない人としゃべるときとか、恥ずかしかったり緊張したりすると、すぐ赤くなる……」




「よく知らない人?」


矢代くんはフッと笑って、自分を指差す。




「ち、ちがう。あ、いや、ちがわないんだけど、でも矢代くんの場合はそういうことじゃなくて、なんて言うか……」


えっと……。


えっと……。


『よく知らない人』じゃなくて


『好きな人』だから――。




ま、まさか、そんなことを言えるわけないのに、このままだとヘンなことを口走ってしまいそう。


「わたし……」




ダ、ダメだよ。バカ。わかってる?