ぎらぎら照りつける太陽の下、公園の蝉が大合唱している。
一度限りの夏に、命の限りを尽くすために。

嗚呼、その刹那な叫びを耳にするたび、言いようのない焦燥感に囚われる。
二度とは帰らない日々がただ過ぎる、そのことに抗いたくて、抗えなくて。

君が笑ったときに見せる歯の白さや、黒目のきらめき、素肌に浮かぶ珠のような汗を、しっかりと目に焼きつけておきたいけれど

思い出にしてしまうなんて、嫌だから。

その黒目に映る世界を、今だけ共有させて。

くらくらするほどの熱気に、酸欠になりながら。死にそうになりながら。

――君と刹那な恋がしたい、夏――