目を離したのはほんの一瞬。 クローゼットに行ってすぐに戻って来ただけ。 !? そこに繰り広げられている光景を見て思わず息を呑んだ。 「美久!ダメ!」 慌てて駆け寄ったけどすでに遅くて……。 手にしたヒーローものの固い人形を、李久の頭目掛けて思いっきり振りかざしたところだった。 「……っ」 ゴツッと鈍い音が辺りに響く。 「美久!どうしてそんなことするの!?」 子どもの力とはいっても容赦ないからあなどれない。