しばらく無言で花火に見入った。


李久はずっと楽しそうにしていて


美久はずっと泣いたまま。



「リュウ」



出会った頃から変わっていないそのキリッとした横顔をちら見すると


優しい瞳と視線が重なった。



「あたしね今すっごい幸せだなぁって思った」



なんかねうまく言えないけど


こうやって家族で花火を見て


のほほんとしてるこの瞬間を


心から愛おしく感じたんだ。



「今だけ?俺は常に幸せだけどな。特に昨日の夜とか最高だった」



からかうように


でも満足そうに笑って答えるリュウ。



き、昨日の夜って……!


もう!!


そういうことしか頭にないわけ?


人がせっかく真剣に話してるのに!



一人赤くなっていると隣でリュウがニヤリと笑った気がした。