お姫様の苦悩。





.......と、思ったのだか。



「逃がさねぇよ?」



振り向くと、にやり、とした笑顔を浮かべて、あたしの手を掴む愛司彼方がいた。



不覚にも、『かっこいい』と感じてしまったのは間違いだ。うん。きっと。



『は、なせ、ばかっ!!』


「あ?ばか?」



ぎゅうう、とあたしの手を握る手に力が入る。



『手、いたい!』



「離したら逃げんだろーが。」



『わ、わかったわかった!!逃げないから!』



仕方ない、と自分に言い聞かせると相手の目の前にいった。