お姫様の苦悩。





ぶち、と音がしたような気がした時には、愛司彼方の急所を蹴りあげていた。



流石のこいつでも、今の一発は効いたようだ。



その証拠に足元に踞(うずくま)っている。



よし!!よくやったあたし!!



「......ってえ、.....くくっ、っは、お前ほんと面白れぇな....」



しかし、見ると愛司彼方は痛がりながら笑っていた。



なんだこいつ!!!
Mか!!Mなのか?!



あたしは平然を装って、覚めた目で愛司彼方を見下す。



『あの、あたしM男子に興味ないんで。』



さっと左手をあげて、走り出した。