ねがい

「あの、すみません」
とあたしの後ろからかわいらしい声が聞こえる。

「あ、うん、どーしたの？1年生？」
振り返ったあたしは目の前にいる子に話しかける。
すると、
「いえその私タメです。」

きまづそうに言う。

「へ？」
あたしは恥ずかしくなりその子に何度も謝る。
「え！あのごめんね！すみません、本当、てっきりかわいい子だったから1年生かと…」
「いっいえ！いいんです！
その…お願いがあって…」

「うん、なに？」
あたしの代わりに聞くみゆき。

「えっと、大倉夏恋さんを呼んでくれませんか？」

「あ、あたしだけど…」

「あ…えっとその」
まさか大倉夏恋があたしだと思ってもいなかったような顔をされる。
「すみません何度も…あの…
熊谷洸さんを呼んでいただけないでしょうか！？」
覚悟を決めたという顔をされて言われる。


その瞬間、みゆきの表情が変わった。

まるで怒りに満ちたような顔。

「わかった、呼ぶよ」
と不機嫌そうに言い放つみゆき。

「洸くーーん！！面会よーー！
お ん な の！」

女とみゆきが口にした瞬間クラス中が沈黙に包まれた。
それと同時に一斉にあたしに目をやる。

「あたしのわけないでしょ、洸、呼んでるよ、」

そしてクラスの人たちが顔色を悪くした。
「あ、おおう。わっわかった」

洸も困ったような口調で答える。

そしてそのまま2人は何処かに行ってしまった。

「なんなのよあれぇ！！」
1人の女子が言う。
「みんなしかも聞いて！あの子彼女の夏恋をわざわざ呼んでわざわざ彼氏を彼女に呼ばせたのよ！？ほんとどーかしてるよ！」

とみゆきが叫ぶ。

「さすがに男の俺らでもあれはねえと思ったよ。」
また男子が言ってみんなそれに頷く。


まあ、たしかに。
はははっとしか笑えない。

まず笑えない。

あーぁこれも夢だったらいいのになー