「でも秋葉原をそんな格好で歩いていたら声をかけられたりするのかな」

慶二は話を少しだけずらしたつもりだった。

「かけられたりしてるとこを見たの」

「やっぱり?ついて行くのかな」

慶二はそういう事に興味津々になる。

「ついて行くわけないじゃない」

「え、どうして?ナンパされたんじゃないのか?魔女は面食いなのか」

「あれはナンパじゃないわ」

「ああ、ただ声をかけられただけなのか」

「あれは魔女狩りよ」

静流は力を込めて言い放った。
慶二は言葉を失った。それは静流の言葉に呆れたからでも、恐怖を感じたからでもない。魔女狩りという言葉に卑猥なニュアンスを勝手に感じたからだ。

「だからついて行かないの」

「魔女狩りって何をされるんだ?」

慶二は静流話に完全に入り込んでしまった。方向性は違うが。

「それはそうねぇ…」

静流は少し考えた。

「火あぶりよ」

「火あぶり?どんな性癖だよ、その男」

双子の二人の話の方向性はずいぶん違う。

「性癖は関係ないとおもうけど」

「他には何されるんだ?」

「色々といぢわるな質問されたり」

「ああ、言葉責め?俺も好きだなぁ、される方だけど」

『火あぶり』で慶二の妄想癖に火がついたらしい。

「他には何されまくるんだ?」

「くすぐり地獄とか、縛りつけられたりかな」

「ドSだねぇ、亀甲縛りかな」