教室を出て行こうとする彼を見て

「あ、あの!」

と、つい呼び止めてしまった。

だけど、彼は立ち止まるもこちらに顔を向けない。

「あ、ありがとうっ!」

それだけ伝えたかった。

彼は今朝と同じように、右手をひらひらと振り、教室へと戻って行った。