タイムマシン【短編】

それから数十秒後、圭を殴った二人組みの男達は、地面に倒れていた。



「大丈夫か?」

圭はスーツの男に声をかけられ、答える。


「あ、はい。…ありがとうございました」


「いいよ。お前、勇気あるな。でも、勝てない相手だって思ったら、逃げるのも、負けない喧嘩のひとつだからな」

ヤクザに言われたその言葉を胸に刻み、圭は家路に向かうのだった。




やがて目を覚ました二人組の男達が、ゆっくりと起き上がる。


「いてててて…」

「あのオッサン…むちゃくちゃしやがる」


「大木、大丈夫か?」

「ああ。お前は?」

「俺は…鼻が折れてるっぽい」

「マジかよ。本当に…ついてねぇな」


「…ああ。競馬で全財産もってかれて…オマケに、ヤクザにボコボコにされるとは…」

「あのガキども、次にどっかで会ったらタダじゃおかねぇ…」

「ああ。…殺したいぐらいだ」

「なんか簡単に金儲けできる方法ねーかな?」

「競馬はもうダメだな。ドラッグなんてどうだ?」


「ドラッグか…それもいいな」



そう呟いた男は、まさしく若い頃の大木博士だった。


















【完】