「そうですね…。状況にもよると思います。正当防衛が認められれば無罪ですが、過剰防衛と見なされれば、懲役でしょうね」


「そうか。今までありがとう。ついでに、これもあげるよ」


私は探偵に礼を言うとともに、小さな包みを渡した。


「なんですか…?これ?」


「30年後には価値を持つかもしれない“ただの紙”だよ」

探偵に未来のお金を渡し、私は警察に出頭した。


正当防衛は認められず、過剰防衛として、私は懲役2年6ヶ月となった。
死刑でもよかった。
あれだけお世話になった人を殺してしまったんだ。
確かに、私が知っている博士とは似ても似つかないが、本人を殺したことに変わりはない。そして、偉大な研究の芽を摘んでしまったんだ。

私の戸籍がないことに、警察はあらゆる方法で調べたみたいだが、結果は出ず、うやむやになった。

この結果、タイムマシンの存在がばれるようなことになったら、私は舌を噛んで死んでもいいと思った。

それぐらい、私は死んでもいいと思っていた。ただ、過去の私には頑張って欲しい。

過去の私は何もしていない。私は人を殺した。それも大事な人を。

私が罪を償うのは当然だ。

過去の私には、このままいい関係を保って、幸せになって欲しかった。

私が手に入れられなかった幸せを、結婚をして欲しいと思っていた。




2年半の間、私は罪を償った。