ぶつかって来た 、美少年だった 。
「 あ………… どうも 」
あたしは軽く頭を下げ挨拶をすれば 、また本に目を戻す 。
「 名前 、さなっていうんだね 」
「 はい…… 」
「 宜しくね 、さなちゃん !! 」
と言って 、爽やかな笑顔を振りまきながら手を出してくる美少年 。
正直 、反応に困る 。
名前も知らないし 、男と握手するのも気が引ける 。
「 あ 、俺 桜宮 翔 。 色々あって今年 、この学園に転入して来たんだ 」
あ 、転入生か 。
どうりで見た事無い人だと思った 。
「 ………猫山 咲奈… 」
一応 、フルネームを言ってみた 。
バカにされるかな 。猫山なんて 、ね 。
「 猫山咲奈ちゃんか…… 何か凄え合ってる !! 猫みたいに可愛いし 」
爽やか笑顔のまま 、こんな事を口にする美少年桜宮くん 。
「 え 、あの…… その…… 」
男の子にこんな事言われたことない 、あたし 。
言葉が全く出てこない 。
恥ずかし過ぎて 、穴があったら入りたい 。
そんな 、あたしを見た美少年桜宮くんは
「 あ 、いや別に深い意味はないからね ? 」
なんて 、顔を少し赤らめて言う 。
「 ………う 、うん 」
そんな事分かってます 。
でも 、やっぱり桜宮くんから出た " 可愛い " て言葉が嬉しくて顔が熱い 。
髪の毛をぽりぽりと掻きながら 、照れ笑いを浮かべる桜宮くんと目が合えば 、あたしも自然と笑顔になった 。
