「 よし ! あたし達も行くよ 」
「 あ 、うん 」
再び手を繋ぎ直し校舎の中に入った 。
歩きながら真衣はご機嫌そうに鼻歌を歌っていた 。
多分 、長年の勘的にあの美少年のこと気に入ったのだろう 。
でも 、名前も学年も知らない 。
あたし達の通う 、桜川学園は幼稚園から大学まであるから殆どが変わらないメンバー 。
其れに 、この学園は所謂金持ちと未来が約束された人間しか入れない 。
あたしのお父さんは 、猫山動物病院っていう 、結構大企業の社長をしている 。
そのひとり娘ってことで 、此処の幼稚園からずっとエスカレーター式で登ってきた 。
まいの両親もお金持ち 。
お母さんは世界的にも有名だったバレーボール選手 。
お父さんはプロの野球選手 。
家も近いし 、
ずっとずっと真衣と一緒に育ってきた 。
だから 、真衣のちょっとしたことでもあたしにはすぐ分かる 。
なんというか 、行動に出ちゃってるの 。
いつもガンガンに明るく振る舞うタイプだけど 、本当はこういう可愛らしい一面もあるんだよ って皆に教えたいくらい 。
「 ちょっと 、咲奈 ? どこまで行く気よ 」
言われて我に返り 、横にある教室を見れば 2ーS 。
「 あ 、ここ ? あたし達 、Sクラス ? 」
Sクラスと言えば桜川学園のトップクラスとでも説明しようか 。
とにかく 、頭がいい人しか入れないクラス 。
なんで 、真衣…… 入れたの 。
真衣はスポーツは出来るが 、勉強はそこそこ 。
去年までAクラスだったあたし達で順位を見せ合えば 、
あたしは勉強だけは出来るからずっと1位だったけど 、真衣はギリギリ半分から上くらいだったのに 。
真衣 ………勉強したんだ 。
あの涙の理由がなんとなくわかる気がした 。
「 教室入るぞ ー ? 」
「 あ 、うん 」
