家に帰ってる途中の電車も、
家までの道も、田口くんの匂いで
頭がいっぱい。
もちろん、家に帰ってからベッドに
入るまで田口くん。
むしろベッドに入ってからが、本番。
こんな感じで常に田口くんで溢れてる。
次の日の朝、学校の下駄箱で誰かに名前を呼ばれた。
『あの…松島…さん?』
誰かと思い振り返ると、まさかの田口くん。なんて凛々しいの…
いやいやそうじゃなくて‼︎返事をしなくちゃならない。私は咳払いをして、
『何か用かな⁇』と今までで1番可愛い声で答えてみた。つもりだった。
私は元の声が低いことを忘れてた。
田口くんは困ったような顔をしつつ
『今日の放課後、教室で待っててくれない⁇』と私に言った。
ただでさえ、田口くんの顔見るので精一杯なのに、これ以上会話なんて出来るわけなく、頷くのでやっとだった。

