ただ漠然とそう思った。
この人は、この人の色、一色にしか染まらない、いや、染まれないのだ。

何故、当時の私がそんなことを思ったのかはわからない。
でもそれは強ち間違いではなかった。彼は彼の色にしか染まらなかった。私の色の雫は彼の中では油のように、混じり合うことはなかった。