次の日から正式に授業が始まった。
今は現代文の授業。
三宮高校。
「川和~お前頭いいんだから問題とけよ〜」
叶汰が喧嘩越しで私にいう。
「はぁ??アンタに言われたくないし」
クラスメイトが一気に笑う。
昨日の話が頭をよぎる。
「叶汰くん....毎日お見舞いに行ってるんですって。好きでもないのに、事故で叶汰くんを守った。意識はあったけど、やっぱり傍にいてあげなきゃ。って思ってるんですって....」
分かってたよ
だけど、好きじゃないのに一緒に
いたって会ったって意味ないじゃない....
私は諦めなくちゃいけないの?
つらい。
「ちひろちゃん、どうした?」
「優輔くん....」
「悩み事あるなら聞くよ。授業終わったら」
「うん。ありがとう....」
授業が終わり、優輔くんと2人きり。
「で、相談内容は?」
「実話昨日....お母さんから叶汰のことについて聞いたの....」
「もしかして事故の?」
「なにか知ってるの?」
「忘れもしないよ。小学校四年生のころ....叶汰がまだ転校してきて数ヶ月たった頃だった。サッカーのクラブに入ってた叶汰はリーダー的存在でチームメイトからちょっと気に食わなかった目で見られてたんだ。転校してきたばっかでレギュラー貰って....毎日いじめられてたんだ。そんな時同じクラスメイトの真奈美ちゃんが叶汰を守ってくれたんだ。チームメイトの中に真奈美ちゃんを好きだった男の子がいて、嫉妬心じゃないけど。そいつが叶汰をますます気に入らなくてまだ信号が赤だったのにそいつらが集団で叶汰を後ろからおして....それに気付いた真奈美が叶汰を守ろうとして変わりに頭を打った。最愛怪我はなかったが....今は体調が弱くていつ亡くなるかわからないんだ。それで、叶汰は助けてくれたことによって今の自分がいるのは真奈美が俺を守ってくれたから。だから、今度は真奈美は俺を幸せにする。と
言って毎日見舞いにいってんだ。アイツな本当はちひろちゃんが好きで好きでたまらないんだ。でも、叶汰にはまもらなきゃいけないものがあるからちひろちゃんとはそういう関係にはなれない。そう言ってたんだ。」
私はただ何も知らずに泣いた。
優輔くんは黙って抱きしめてくれた。
「なぁ....」
「ん?」
「まだ千尋ちゃんと俺出会ったばかりで
お互いまだ何も知らないことばかりじゃん?」
「うん。」
「だから俺と....友達からでいいから少しずつ距離を縮めて欲しいんだ。」
「うん。」
「千尋ちゃんが....もし....友達以上に
俺の事思うようになってくれたらその時は付き合ってほしい。」
「えっ!?優輔くん?」
「叶汰からよく話を聞いていた。
それからどんな子なんだろうってずっと
考えてた。会ったこともないくせに....今年の二月に叶汰から千尋ちゃんが転校してくるって聞いた時は嘘かと思った。
だから、千尋ちゃんが転校してきた初日
から好きという気持ちが高まって....
」
優輔くん。
ぎゅっ
私はその話を聞いて思わず後ろから
抱きついてしまった。
「そんな嬉しいこと言わないでよ。最初は友達?そんなこと言われたら....友達ではいられない。叶汰のことも好き。だけどね叶汰には幸せになってもらいたい。私....優輔くんの一番になりたい....だから....友達からというのは悔しいけどお互い知っていこう?」
「千尋ちゃん....友達としてよろしく」
優輔くんは笑った。
私もただ笑った。
この人といればずっと幸せになれる。
私を一番にわかってもらいたいと思っていたのに....