一瞬私に声を掛けられたとは思わず、顔をあげなかった。 だけど、暗くなった手元に、人がすぐ傍に立っているとわかり顔をあげた。 立っていたのは、この現場の主役。 椎名春葵だった。 「…椎名さんが退いてくれれば明るくなりますけど」 「え?あ、そっか、ごめんね。でも、オレが言ったのはそういう意味じゃなかったんだけど」 椎名さんは指で天井を指した。 「ここ、電気ないから。台本読むなら明るいところがいいと思うよ」