このまま帰りたい…。
帰っちゃ駄目かな。

でもそれはいくら何でもまずいよね。
あぁ、でも、足を踏み出す勇気が…!


「…入らないの?」

「っ!」


いきなり声を掛けられて、肩がビクリと跳ねあがる。
恐る恐る振り返ると、不思議そうに私を見下ろす男の人。

いくら芸能界に疎い私でも、顔と名前くらいは知っている。


「は、入りますっ」

「じゃあ、どうぞ」