「まぁ、ここまで来たら今更断れないだろうし。別にいいんじゃない?あんた、一応経験はあるんだし」
そうなのだ。
葵ちゃんの言う通り、実は演技に関しては全くの素人ってわけでもない。
お母さんの仕事の関係で、演技のレッスンは小さい頃から高校生くらいまでやっていた。
その流れで何度かドラマとか映画に出たことだってある。
でもそれはほんの脇役。
今回みたいなメインキャストは初めてなのだ。
「まぁ、確かに、今更後には引けないか」
「ケンちゃん…」
よっぽど情けない顔をしていたのか。
ケンちゃんは苦笑して、私の頭をよしよしと撫でた。
「俺でよかったらいつでも相談にのるから。頑張れ」
私はとりあえず頷いて、パンケーキを口に運んだ。
