「…ユミ役の朝倉汐里です。宜しくお願いします」 立ち上がってペコリと頭を下げる。 「あぁ、きみが監督の言ってた女の子だね」 すぐに座ろうと思っていたのに、椎名さんがにこやかにそんなことを言ったものだから座るタイミングを失ってしまった。 監督…。何を言ったんですか。 「そうそう。俺の一目惚れ」 「あはは。わかるなぁ。だって可愛いもん」 「…宜しくお願いします」 ペコリと頭をさげて今度こそ着席する。 軽そうな人。 それが椎名春葵に対する第一印象だった。