「...わたし...みかに殺されかけた?」
少しずつ落ち着いて息も楽にできるようになってきた。
「そうです。あなたはみかの親友だそうですね?」
「ぁ...えっと、親友では、ないです。」
そう。
あの時、みかが心配してかけてきてくれた電話。
だけど私は、失恋した自分と斗真が何も言わずに去った現実を受け入れたくなかった。
だから...あの時のみかは、私にとってうっとおしかった。
高校を卒業するまで幸いなことに、みかとは同じクラスにはならなかった。
みかも、廊下ですれ違ったり下校時に会ったりしても、話しかけては来なかった。
無論、自分も声を掛けることはなかった。
できなかった。
そうやって、親友の糸は途切れた。
それでも...みかを嫌いにはなれなかった。
みかが倒れたって聞いて、いてもたってもいられなかったし、苦しんでいるなら支えになりたかった。
「...空美さん?」
「向こうは親友と思ってないです。私も、今日みかの元を訪れたのは、怪我したみかをからかってやりたかったからです。」
みかは私のこと、嫌いだ。
それもそうだ。
心配したのに、きれられて電話を切られて...。
私は、嫌われてもしょうがない。
「空美さん...」
「...あんなに、気が狂ってるみか面白かった。あは、犯罪って恐ろしいですね。」
わざと口元を笑わせてみる。
山田さんは、困った顔をしていた。
「空実さん...無理してる?」
どうして、この人は優しい顔で笑いかけるのだろう。
「してませんよ。
まぁ、ナイフで殺されかけるとは思わなかったなぁ〜。ほんとみかってアホですよねーあんな情緒不安定な状態で。」
口に手を当てて、くくっとうそわらいなんてしてみる。
「...親友だったって言ってましたよ?
みかさんのお母さん。」
目の前が霞む。
「...それは、昔。今は嫌い。」
語尾の部分の言葉が震えた。
目に浮かぶ涙を必死に流さないようと堪える。
「どうして君は我慢をするんだ。そこまで好きだったんだな。大好きな親友だったんだな?」
山田さんは、優しく小さく、わたしになげかけた。
好き。
大好き。
ずっと親友でいられると...
「うわあああっ!!私だって、私だって...ずっとずっと会いたかった!親友でいたかった!大切だった!なのに傷つけたのは私だもんっ!ひっく」
何かが弾けたように
涙が大量にこぼれた。
ふわっと
山田さんに抱きしめられた。
「えらい。えらいな。ちゃんと自分の気持ち言えて。」
まるで赤ちゃんをあやすかのように背中を軽く優しくポンポンと叩かれる。
「うっうっ!もどりたかったっ!」
信じていた...
みかはまだ、私を親友として見てくれていると。
断ち切ったのは私なのに
わがままだけど親友のままだと。
なのに...
みかは私をナイフで刺した。
腰に痛みが走る。
山田さんに抱きしめられたまま、その傷を服の上からさする。
硬い包帯が巻かれていた。
刺されたのは紛れもない事実で、
出血多量で倒れたって山田さんは教えてくれた。
やっぱり、親友には戻れない。
そうわかった。
少しずつ落ち着いて息も楽にできるようになってきた。
「そうです。あなたはみかの親友だそうですね?」
「ぁ...えっと、親友では、ないです。」
そう。
あの時、みかが心配してかけてきてくれた電話。
だけど私は、失恋した自分と斗真が何も言わずに去った現実を受け入れたくなかった。
だから...あの時のみかは、私にとってうっとおしかった。
高校を卒業するまで幸いなことに、みかとは同じクラスにはならなかった。
みかも、廊下ですれ違ったり下校時に会ったりしても、話しかけては来なかった。
無論、自分も声を掛けることはなかった。
できなかった。
そうやって、親友の糸は途切れた。
それでも...みかを嫌いにはなれなかった。
みかが倒れたって聞いて、いてもたってもいられなかったし、苦しんでいるなら支えになりたかった。
「...空美さん?」
「向こうは親友と思ってないです。私も、今日みかの元を訪れたのは、怪我したみかをからかってやりたかったからです。」
みかは私のこと、嫌いだ。
それもそうだ。
心配したのに、きれられて電話を切られて...。
私は、嫌われてもしょうがない。
「空美さん...」
「...あんなに、気が狂ってるみか面白かった。あは、犯罪って恐ろしいですね。」
わざと口元を笑わせてみる。
山田さんは、困った顔をしていた。
「空実さん...無理してる?」
どうして、この人は優しい顔で笑いかけるのだろう。
「してませんよ。
まぁ、ナイフで殺されかけるとは思わなかったなぁ〜。ほんとみかってアホですよねーあんな情緒不安定な状態で。」
口に手を当てて、くくっとうそわらいなんてしてみる。
「...親友だったって言ってましたよ?
みかさんのお母さん。」
目の前が霞む。
「...それは、昔。今は嫌い。」
語尾の部分の言葉が震えた。
目に浮かぶ涙を必死に流さないようと堪える。
「どうして君は我慢をするんだ。そこまで好きだったんだな。大好きな親友だったんだな?」
山田さんは、優しく小さく、わたしになげかけた。
好き。
大好き。
ずっと親友でいられると...
「うわあああっ!!私だって、私だって...ずっとずっと会いたかった!親友でいたかった!大切だった!なのに傷つけたのは私だもんっ!ひっく」
何かが弾けたように
涙が大量にこぼれた。
ふわっと
山田さんに抱きしめられた。
「えらい。えらいな。ちゃんと自分の気持ち言えて。」
まるで赤ちゃんをあやすかのように背中を軽く優しくポンポンと叩かれる。
「うっうっ!もどりたかったっ!」
信じていた...
みかはまだ、私を親友として見てくれていると。
断ち切ったのは私なのに
わがままだけど親友のままだと。
なのに...
みかは私をナイフで刺した。
腰に痛みが走る。
山田さんに抱きしめられたまま、その傷を服の上からさする。
硬い包帯が巻かれていた。
刺されたのは紛れもない事実で、
出血多量で倒れたって山田さんは教えてくれた。
やっぱり、親友には戻れない。
そうわかった。

